現在、第91回選抜高等学校野球大会が開催中ですよね。
気温も徐々にポカポカとしてきて、選手たちがプレーしやすい環境になってきているのではないでしょうか。
ですが今回注目するのは応援団のほうです。
高校野球といえばブラスバンドの応援ですよね。
プロ野球でもトランペットの応援がおなじみですが、野球と音楽の応援の組み合わせは、いったいいつから当たり前になったのでしょうか。
今回は野球と応援の歴史を詳しく調べてみました。
野球=鳴り物は日本独自の文化
野球といえば鳴り物の応援。
今では当たり前の組み合わせになりましたよね。
プロ野球ではトランペットと太鼓を使った応援が、高校野球では各校のブラスバンド部が美しい音色を奏で、選手たちに士気を送ります。
ですが実はこの鳴り物を使った応援は日本独自の発展を遂げたもので、MLBなどでは見かけることはありません。
2017年のWBCでは、準決勝に進出した日本チームを応援するため、ドジャースタジアムで鳴り物応援を行ったことが話題になりましたよね。
日本のファンからも海外のファンからも賛否両論ありました。
これはWBCの運営側から「各国の応援文化を尊重してほしい」という要請があったからなのですが、やはり日本の応援は世界から見れば独特みたいです。
プロ野球では75年が最初
ではいつから野球の応援=鳴り物になったのでしょうか。
プロ野球で応援に初めてトランペットが用いられたのが1975年のことです。
ミスター赤ヘルこと山本浩二選手を応援する際に、トランペットでコンバットマーチを演奏したのがきっかけとなります。
その後、78年には山本浩二選手の専用応援歌も出来上がり、徐々に今のような応援スタイルになりました。
それ以前だと、国鉄スワローズの応援で太鼓を使った応援が行われてました。
当時のセリーグは巨人が圧倒的な人気を誇っていて、スワローズとの試合でも球場の9割以上が巨人ファンで埋め尽くされていたそうです。
ですがそんな状況でも少しでも選手を鼓舞しようと、スワローズの応援団が太鼓を使って応援したのが始まりだそうです。
国鉄の時代なので、50年代~60年代くらいの話でしょうか。
ちなみに東京音頭に合わせて傘を振る応援も、この時に出来上がったみたいです。
プロ野球よりもアマチュアがブラバン応援の発祥
ですがアマチュア野球を見てみると、プロ野球でトランペットの応援が定着する以前から、鳴り物を使った応援をしていました。
ハッキリとした記録が残っているのは大学野球でしょうか?
昭和の初期のころはプロ野球よりも人気のあった大学野球ですが、1949年に明治大学が初めてブラスバンドの応援団を結成しています。
そこから東京六大学に所属する他大学(早稲田・慶應・法政・立教・東京)もブラバンの応援団を取り入れ始め、1952年には六大学すべてに設立されていたそうです。
社会人野球でもはっきりとした記録は残っていませんが、1963年の都市対抗野球大会から「応援団コンクール」取り入れられていることから、以前より派手な応援がされていたことがわかりますね。
では高校野球はどうなのでしょうか。
高校野球でも、ブラスバンドによる応援が一般化したのは1950年代のことです。
もっとも古い記録では1952年に日大三高のブラスバンド部が初めて甲子園で演奏したといわれています。
そしてその後を追うように、他の高校もブラスバンドの応援を取り入れていきました。
60年代になると、甲子園だけでなく県予選からブラスバンドの応援を行う高校も出てきたそうです。
(なお大阪など予選でのブラバン応援を禁止しているところもあります)
ただ記録に残っているものではなく、伝聞によるものも含めると、実は1915年に開催された第1回大会からすでにブラスバンドの応援があったともいわれています。
その応援を行ったのが、第1回目の優勝校「京都二中」、現在の「京都府立鳥羽高校」ですね。
なんでも初代校長が学業と同時にスポーツ教育・音楽教育にも力を入れる方針だったらしく、ブラスバンド部(当時は楽隊部)もかなり早くから設立されていたそうです。
さらに当時の教師曰く、「第1回大会で京都二中が優勝した時、楽隊部もその場で演奏していた」といいます。
この話だけだと、試合中に応援のために演奏していたのか、それとも優勝記念のセレモニー的な感じで演奏していたのか、どっちかはわかりませんね。
ですが、楽隊部が球場(当時は甲子園でなく豊中球場)にいたという可能性は高いのではないでしょうか。
もう100年以上も前の話なので、あいまいになるのも無理はありませんが…
どちらにしても、鳴り物を使った応援というのはアマチュア野球から発展していきました。
野球観戦の醍醐味として、応援団にも注目してみてはいかがでしょうか。
あとがき
高校野球の時期になると、やっぱりブラバンの応援が気になりますよね。
プロ野球でもトランペットを使った応援は欠かせません。
鳴り物の応援は野球観戦の醍醐味。
ぜひ球場に足を運んだ際は、応援にも注目してみましょう。