アンチエイジングや美容効果があると言われているリンパマッサージ。
リンパの流れを良くすることで、むくみが取れて足が細くなったり小顔になったりすると言われています。
しかし、医学的には全く根拠のないものだと話もありますし、いったいどっちなのでしょうか。
そもそもリンパというものは何者なのでしょうか。
そもそもリンパとは
リンパマッサージなどでいわれるリンパとは、一般的にはリンパ液のことをいいます。
人の体には無数の血管があり、その最も細いものを毛細血管というのですが、リンパ液はその毛細血管の壁からにじみ出ている液です。
血液は心臓から送られて全身をめぐり、そしてまた心臓へと戻っていきます。
しかしその循環の際、一部の水分は心臓へと戻っていかず、組織液となってその場に滞在します。
そしてその組織液が毛細血管からにじみ出たものが、リンパ液となるのです。
もとは血液だったということですね。
人間の体からは、1日20リットルほどのリンパ液が出てくるともいわれています。
このリンパ液の役割は、老廃物や水分、ウイルス・細菌などの運搬です。
8割~9割のリンパ液はそのまま毛細血管に再吸収されるのですが、残りのリンパ液は体内の老廃物などを回収しながらリンパ管・リンパ節を経由し、
最終的にはすべてリンパ本幹というところへ集められます。
リンパ管は体の各場所にあるリンパの流れる管です。血管のように体の各場所に存在しています。
ですが血液と違い、リンパ管からリンパ管へリンパ液が移動して全身を巡っていくいうわけではありません。
例えば右腕のリンパ管へ入り込んだリンパ液は、下半身や左腕のリンパ管に移動することなく、リンパ本幹へ移動していくということになります。
一方のリンパ節は、リンパ管とリンパ管をつなぐ関節のようなものです。
右腕のリンパ管にあるリンパは、胸に行く前に右肩のリンパ節を通るのですが、その右腕と右肩の中継点になっています。
リンパ節にはリンパ球やマクロファージなど、免疫系をつかさどる白血球が存在しており、運搬されたウイルスや細菌などを退治してくれます。
リンパ本幹は、全身のリンパが最後に集まる場所です。
右リンパ本幹と胸管の2つがあり、右リンパ本幹には右上半身からの、胸管には左上半身および下半身からのリンパが集まります。
そしてリンパ本幹に集められたリンパ液は最終的に静脈へと戻っていきます。
リンパの流れが悪いとむくみやすい
というように非常に重要な役割を果たしているリンパ液なのですが、リンパ液は筋肉が収縮することでしか流れていきません。
血液は心臓の収縮+筋肉の収縮で流れていくのに対して、リンパ液は筋肉の収縮のみなのですから、血液以上に流れにくいのです。
そのため、筋肉の力が足りなければ、リンパ液の流れが滞ってしまうことがあります。
リンパ液には老廃物や水分を運搬する働きがあるので、それらまで滞ってしまうと体にむくみが生じてしまうのです。
特にむくみやすいのは下半身ですね。
下半身のリンパ液は、下から上へと移動していかなければなりません。
重力と反対方向へ移動しなければならないのですから、どうしてもむくみやすくなってしまうのです。
顔もむくみやすいといえばそうなのですが、顔のむくみは基本的には時間経過で戻っていきます。
顔がむくみやすくなるのは寝起きです。
寝ているときは横になっていますから、顔のリンパも重力の影響で流れが悪くなりやすくなるのです。
しかし、活動時の顔のリンパは上から下へ重力と同じ方向に流れますから、起床後に活動しているうちにリンパの流れも戻っていき、むくみも取れていきます。
顔にむくみやすいというイメージがあるのは、1番目立つ場所だからでしょう。
リンパマッサージには効果がない?
ではその流れが悪くなったリンパをマッサージで改善することはできるのでしょうか。
確かに滞ったリンパの流れがマッサージでよくなっていくことはあります。
ただし、そのリンパマッサージで小顔になったり、ダイエット効果が生まれるかといわれると、それは疑問です。
もともとリンパマッサージによるダイエット効果などに、医学的根拠はありません。
リンパマッサージでリンパ液の流れは良くなるかもしれませんが、それは一時的なものです。
流れの悪いリンパの流れを正常に戻しただけ、つまりマイナスが0になっただけということです。
リンパマッサージで実際に顔が小さくなった・足が細くなったと実感している方もいるかと思いますが、それは細くなったというよりも元通りになったというべきです。
マッサージほぼ毎日通い続けることで、常にリンパの流れが良くなるということはあるかもしれませんが、費用面を考えるとあまり現実的ではありません。
リンパ液は筋肉の収縮によって流れていきますから、根本的に解決したいのであればやはり筋肉アップに努めるほうが良いでしょう。
もし足や顔のむくみを素早く治したいという場合は、簡単なマッサージをご自身で行ってみましょう。
足の場合はふくらはぎを下から上に持ち上げるように、顔の場合は耳のすぐ下→首→鎖骨あたりをマッサージします。
リンパの流れに沿って、力を入れすぎないように注意しながら行ってください。
また、もし慢性的に足や顔がむくんでいる場合は何らかの疾患の可能性もあるので、きちんとした医療機関へ相談してください。
あとがき
世間では大流行しているのに、いまだ医学界では受け入れられていないリンパマッサージ。
リンパの流れをよくすることは大切ですが、マッサージだけでどうにかなるものではないみたいです。
どちらかといえば、ちょっとした筋トレなど、日々の努力の方が大事になるみたいですね。